タントラの身体論 [中世インド]

タントラは、肉体ではない霊的なレベルでの身体論・生理学を生み出しました。
これに類したものは、オリエントやヨ-ロッパの神智学にはありませんが、中国にあり、相互に影響関係があったと推測されます。

ただし、身体(心身)を3つの階層性として、「粗大身/微細身/原因(極微)身」で考えることは、バラモン哲学など、タントラ以前からの伝統を継承していますし、これは、「霊(ヌース)/魂(プシュケー)/体」というオリエントの神智学と共通します。

しかし、タントラの霊的身体論は、身体的の構造論でもあり、また、死→死後生(中有)→誕生という輪廻のプロセスを解明する理論でもありました。
また、修行や医療の基礎理論にもなりました。

霊的身体論は、身体的な修行法と一体です。
様々な器官は、そのように存在するというより、そのように観想して操作するためのものです。
つまり、客観的存在というより、主観的・操作的存在です。

修行法としては、「ハタ・ヨガ」や「クリヤ・ヨガ」と呼ばれる、座法やプラーナ(気)のコントロール、観想やマントラ(秘音)を重視したヨガが生まれました。
後期密教においては、これらは、「生起次第」と「究竟次第」という形で体系化されました。


タントラの霊的生理学の構成要素は、微細で流体的な力である「プラーナ(生命風)」、その流路である管脈の「ナーディ」、中枢的な器官である「ビンドゥ(ティクレ、点、心滴)」、「チャクラ」、プラーナのエネルギーである「クンダリー」と「アムリタ(甘露)」などです。

ただし、具体的な構造などに関しては、時代、宗派、経典によって様々です。


<プラーナ(ヴァーユ)>

「プラーナ(チベット語で「ルン」、漢訳は「風」、「気」)」は、それが流れる場所によって、名前、性質が異なります。
ですが、ひっくるめた総称としても「プラーナ」という言葉が使われることもあり、それ以外では、「ヴァーユ(風)」、「ヴァータ」という言葉も使われます。

・プラーナ:心臓周辺を流れ、呼吸に関わる、通常は上向きに流れる
・アパーナ:肛門周辺を流れ、排泄に関わる、通常は下向きに流れる
・ヴァーナ:身体全体を流れ、すべての運動やエネルギーに関わる
・サマーナ:へそ周辺で消化に関わる
・ウダーナ:頭部及び手足を流れ、知覚や思考に関わる

以上の「五風」が代表的なプラーナです。

行法においては、上向きに流れる「プラーナ」を下に押し下げ、下向きに流れる「アパーナ」を押し上げ、「サマーナ」の流れるヘソ下の部分に合流・圧縮する(瓶ヨガ)ことが、重要な方法となります。

また、後期密教では、プラーナは流れる場所で微細さが異なるとします。
一般のナーディを流れるものは「粗大なプラーナ」、中央管を流れるものは「微細なプラーナ」、ビンドゥの中は「極微のプラーナ」とされ、それぞれが意識の微細さに対応します。


<ナーディ>

ヴァーユが流れる脈管の「ナーディ」は「蓮の茎」が原義です。
大小多数のナーディがあり、ナータ派ではその数は7万2千と言われ、へそ下の「カンダ」に発するとします。
主要なものは、ナータ派は10、シュリー・クラ派では14など、いつくかの数え方がありますが、最も主要なものは、中央管、左右管の3本です。

     (ヒンドゥー)  (密教)   (チベット語) 
・中央管:スシュムナー:アヴァドゥーティー:ウマ
・左管 :イダー   :ララナー     :キャンマ
・右管 :ピンガラー :ラサナー     :ロマ

中央管は、「ウパにシャッド」では頭頂から心臓まででしたが、ナータ派で臍下までに伸び、シュリー・クラ派で基底部までとなりました。
また、中央管は4重の構造になっていて、外から「スシュムナー」、「ヴァジュラー」、「チトリニー」、「ブラフマ」と呼ぶ説もあります。

左右管は、ナータ派では、臍下部のチャクラに発し、中央管の左右に平行し、シュリー・クラ派では、会陰部のチャクラに発し、チャクラで交差しながら螺旋状に伸びます。
そして、左右の鼻孔、あるいは、眉間や頭頂のチャクラまで至る、とする諸説があります。

後期密教では、各チャクラで中央管に絡みついてそれを締めているとします。
右管は中央管に右巻きで巻き付き、左管は左巻きで巻き付き、チャクラの間は、右管は常に右側、左管は常に左側を通ります。
そして、胸にチャクラのみ2回、あるいは、3回巻き付き、他のチャクラは1回巻き付きます。

ちなみに、「ナーディ」は、中国の「経絡」に相当するような存在ですが、「経穴(ツボ)」に存在する概念もインドにはあって、「マルマ」と呼ばれます。


<チャクラ(パドマ)>

「チャクラ(密教の漢訳は「輪」)」は、中央管に沿って複数存在する機関です。
シュリー・クラ派では「パドマ(蓮華)」と呼び、この呼名は仏教でも使います。

ヒンドゥー系では、チャクラは、クンダリーを通過させるなどして、チャクラを活性化すると回転し、また、それぞれに対応する機能が高められるとされます。
一方、後期密教では、チャクラは、脊髄とは垂直に放射状に伸びるナーディとされ、頭頂と胸のチャクラの脈管は傘の軸が下向いているように、喉と臍のチャクラは上向きになっています。
左右管が中央管を締め付けているため、それをゆるめると、チャクラから中央管の中にプラーナを流入させることができるとします。

仏教では、経典によって4~6つのチャクラを数えます。
それに対して、ヒンドゥー教では、一般に7つのチャクラがあるとされますが、決して伝統的に7に決まっていたわけではありません。
ウパニシャッドには、詳しい記述はなく、経典によって数も異なります。
10-11Cの「クブジカー・タントラ」は、7つのチャクラを説きます。
ですが古くから、多数のチャクラが数えられ、主要なチャクラに関しても、7つとは限りません。

ハタ・ヨガを生み出したナータ派の初期の文献では、細かく数え上げると頭頂のチャクラより上の頭上の6つを含め、全部で28を数えます。
その開祖的人物であるマツェーンドラは、主要なチャクラを8つとします。
最初のハタ・ヨガ経典であるナータ派の「ゴーラクシャ・シャタカ」でのチャクラとその対応は下記の通りです。

(部位)(チャクラ)  (元素)(種字)(神)
・頭頂:マハー・パドマ :虚空 :ハ :破壊のシヴァ
・眉間:名称無表記   :風  :ヤ :イーシュヴァラ
・口蓋:ランピカー   :火  :ラ :ルドラ
・喉 :ヴィシュダ   :水  :ヴァ
・心臓:アナーハタ   :土  :ラ
・臍下:マニプーラ   
・性器:スワディスターナ
・基底:アーダーラ

最初にインド人によって英訳されたハタ・ヨガ系経典は、シュリー・クラ派の「シヴァ・サンヒター」で、この経典は、初めてチャクラを体系的に説きます。
そのチャクラの数が7つで、細かく見ると9つです。

世界的に7チャクラ説が広がったのは、この翻訳と、ジョン・ウッドロフの「サーペント・パワー」がヒットや、神智学協会のリードビターの書作の影響が大きいのかもしれません。
神智学のバックボーンには、オリエントの神智学の影響があります。

7つのチャクラは、主宰神、動物、元素、梵字、色などとも対応付けられるようになり、7部の象徴体系になりました。

「シヴァ・サンヒター」における7チャクラの体系的対応は下記の通りです。

(部位)(チャクラ)   (弁数)(種字)
・頭頂:サハスラーラ   :1000弁
・眉間:アージュニャー  : 2弁 :OM
・喉 :ヴィシュダ    :16弁 :HAM
・心臓:アナーハタ    :12弁 :YAM
・臍下:マニプーラカ   :10弁 :RAMEN
・性器:スワディシュターナ: 6弁 :VAM
・会陰:ムーラダーラ   : 4弁 :LAM・KLIM

頭頂のサハスラーラ・チャクラは、「ブラフマランドラ」とも呼ばれますが、これは一つのチャクラ・場所ではなく、複数のチャクラ・場所をまとめた表現であるとされ、下記のような3つのチャクラから構成されます。

(部位)  (チャクラ)        (ナータ派)
・頭上:ビンドゥ(ドワーダシャーンタ):コールハタ
・頭頂:ナーダ            :アムリタ(ランピカー)
・額 :シャクティ(トリヴェーニー) :トリヴェーニー

頭上の「ビンドゥ・チャクラ」は、シヴァ神のいるカイラス山とも表現されます。
ちなみに、ナータ派では、「コールハタ・チャクラ」です。
頭上というのは、クンダリーを上昇させて頭頂で止めずに抜け出させた時、ここに至るとするのです。

頭頂の「ナーダ・チャクラ」には、「カンダ」があり、その中に「ヨーニ」があり、トリプラ女神がいるとされます。
ここには、「チャンドラ(月)」もあり、つまり、「アムリタ(甘露)」の源です。
ナータ派では「アムリタ・チャクラ」、「ランピカー」と表現し、細かくは、さらにこの下に「チャンドラ・チャクラ」があるとします。
また、このチャクラは、「ソーマ・チャクラ」、「チャンドラ・チャクラ」、「マナス・チャクラ」、「カーラ・チャクラ」、「ララナー・チャクラ」など多数の異名を持ちます。

額の「シャクティ・チャクラ」は、「梵孔(アーダーラ)」とも呼ばれ、チトラー女神がいるとされます。
ナータ派は「トリヴェーニー・チャクラ」と呼びます。

眉間の「アージュニャー・チャクラ」を「ブラフマランドラ」と呼ぶこともあります。
ここにも、シヴァ神がいるとされます。

心臓の「アナーハタ・チャクラ」は「フリダヤ・チャクラ」とも呼ばれ、秘音(ナーダ音)を発していて、これを聴く瞑想が行われます。
ここは、二元性を克服するチャクラとも言われ、また、ここにアートマンがあるとされます。

臍下の「マニプーラカ・チャクラ」は、消化の火(サマーナ)を司るとされます。
ここには生命力(アムリタ)を消費する「スーリア(太陽)」があります。

クンダリーのいる場所は、ナータ派では臍下の「マニプーラカ・チャクラ」、シュリー・クラ派では会陰部の「ムーラダーラ(アーダーラ)・チャクラ」ですが、ここは「カンダ」、「ヨーニ」がある(である)とも言われます。
「カンダ」は「球」であり、クンダリーを運ぶハンサ鳥の卵、ヴァーユの源です。
そして、「ヨーニ」は三角で表される子宮です。

後期密教においては、頭(眉間)、喉、心臓、臍下の4輪説が有力ですが、「大日経」は頭頂部を加えた5輪説、「カーラチャクラ・タントラ」は会陰部(秘密処)を加えた6輪説です。

4輪説が有力なのは、「四空説」と対応づけることを重視したからでしょう。
頭(眉間)部は「大楽輪」、喉部は報身の「受用輪」、心臓部は法身の「法輪」、臍下部は変化身の「变化輪」です。

(部位)(チャクラ)(弁数)(向き)(マントラ)(元素)
・頭部 :大楽輪  :32弁:下向き :HAM   :風
・喉  :受用輪  :16弁:上向き :OM   :火
・心臓 :法輪   : 4弁:下向き :HUM   :水
・臍下 :变化輪  :64弁:上向き :AM   :地
・会陰 :守楽輪  :32弁:下向き


<グランディ、リンガ/シャクティ>

3つのチャクラ(のある部分の中央管)には、「グランディ」と呼ばれる結び目があります。
上から、眉間部の「ルドラ」、心臓部の「ヴィシュヌ」、会陰部の「ブラフマ」の「グランティ」です。
これは、クンダリーが通る上の障害となっているため、それをゆるめておく必要があります。

また、同じ3つのチャクラには、リンガ(シヴァ神の現れ?)とそれに対応するシャクティがいるとされます。

リンガは、眉間部に「トゥリーヤ(第四状態)・リンガ」、心臓部に「パーナ(矢)・リンガ」、会陰部に「スワヤンブー(自生)・リンガ」です。

そして、シャクティは、眉間部に「パラー(至高)・クンダリニー」、もしくは「アクラ(月)・クンダリニー」、心臓部に「チット(心)・クンダリニー」、もしくは、「太陽のクンダリニー」、会陰部に「プラーナ・クンダリニー」、もしくは「クラ・クンダリニー」です。

 (チャクラ) (グランディ)(リンガ)  (シャクティ)
・アージュニャー:ルドラ  :トゥリーヤ :パラー・クンダリニー
・アナハタ   :ヴィシュヌ:パーナ   :チット・クンダリニー
・ムーラダーラ :ブラフマ :スワヤンブー:プラーナ・クンダリニー


<クンダリー(クンダリニー、チャンダリー)>

「クンダリー」の初出は、7Cの仏教経典の「陀羅尼集経」における「軍茶利明王」です。
「軍茶利明王」は女神で、甘露と関係しています。
ヒンドゥー教における初出は、10-11Cの「タントラ・アーローカ」です。
「クンダリー」の原義は不明ですが、おそらく、火の性質を持った生命力・創造力のシャクティで、女神でもあり「クンダリニー」とも表現されます。

「クンダリニー」は「火壇(クンダリ)処の女神」という説があります。

一般に、「クンダリー」は、会陰のチャクラのある場所に眠るエネルギー(アパーナ)とされます。

「クンダリー」は、とぐろを三巻半巻いた蛇に喩えられ、中央管の下の口をふさいでいます。
これを覚醒させて、頭頂、あるいは頭上まで上昇させることが目指されます。

ですが、ナータ派では、臍下のチャクラのある場所に、とぐろを八巻きしているとされました。

後期密教では「チャンダリー(チベット語で「トゥモ」)の火」、「智恵の火」と呼ばれ、臍下にあるとされるので、ナータ派との近さを感じさせます。

目覚めたばかりの荒ぶる「シャクティ」を「カーリー」、コントロールされるようになった「シャクティ」を「ドゥルガー」と呼ぶこともあります。
そして、「クンダリニー」が頭頂のサハスラーラ・チャクラに登ることを、「シャクティ」と「シヴァ」の合一と考えます。
これは、神話的には、宇宙創造時への回帰でもあります。

本来、クンダリーの上昇は、火壇における炎(護摩の火)のイメージだったのでしょう。
また、鳥(ハンサ鳥)に乗って飛翔する姿でもイメージされます。


<ビンドゥ(ティクレ)、チャンドラ/スーリア>

ビンドゥ(チベット語は「ティクレ」、漢訳は「点」、「心滴」)」は、霊的な身体の核に当たる存在で、そこから生命エネルギーが生まれます。

後期密教においては、「ビンドゥ(ティクレ)」は、一般に、頭頂、心臓、臍下に3つ存在し、それらの意味がしっかりと体系化されています。

ですが、ヒンドゥー・タントラにおいては、「ビンドゥ」という言葉は様々に使われ、霊的な身体の核に関しても様々な説があります。

「ビンドゥ」という言葉の原義は、梵字のオームの上にある点で、それ以外に、シヴァ神の象徴であったり、性ヨガにおける「精液」の象徴表現だったりします。

霊的身体の核は、一般に、頭部の「チャンドラ(月)」と、臍下の「スーリア(太陽)」の2つとされますが、その中に「ビンドゥ」があるとか、あるいは、それらの場所や名称には各種の説があります。

例えば、「サハスラーラ・チャクラ」内に「ビンドゥ」があるとか、あるいは「チャンドラ・(チャクラ)」や「アムリタ・チャクラ」内に「ビンドゥ」があるとされます。

また、「アナハタ・チャクラ」の中にも「ビンドゥ」があり、そこにアートマンがいるとも言われます。
「ビンドゥ」は秘音「ナーダ」の根源で、それが消え入るところとされることもあります。

後期密教では、下のような3つの「ビンドゥ」があるとします。

・不滅のティクレ       :胸のチャクラにあり、輪廻する極微な心・風がある
・白いティクレ(化作の心滴):頭頂のチャクラにあり、父親に由来する
・赤いティクレ(秘密の心滴):臍下のチャクラにあり、母親に由来する

ただし、「カーラチャクラ・タントラ」では、眉間にもあるとします。
また、観想においては、鼻先や男根に、「ビンドゥ」を観想することもあります。

ジュニャーナパーダ流では、3つの心滴が一つに融解したものを「真実の心滴(テニー・ティクレ)」と呼びます。

各「ティクレ」の霊的生理学上の意味については、下の<輪廻の霊的生理学>の項目をお読みください。


<アムリタ、菩提心>

上述した「ビンドゥ(ティクレ)」、「チャンドラ」、「スーリア」からは、ヒンドゥー・タントラで「アムリタ(ソーマ、ネクター、甘露)」、後期密教で「菩提心」など呼ばれる生命エネルギーが生まれます。
ヒンドゥー・タントラや医学では、根源的な生命力としては「オージャス」という言葉も使われます。

凝縮した風の一種だと思われますが、「ビンドゥ」の「融解液」などと表現されることもあります。

また、ヒンドゥー・タントラでは、「精液(ビンドゥ)」は「チャンドラ」で作られ、「経血(ラジャス)」は「スーリア」で作られるとされます。

後期密教では、頭頂の「ティクレ」が融解したものを「精液」、臍下の「ティクレ」が融解したものを「経血」とも表現し、「チャンダリーの火」を後者と同一と考えます。

ヒンドゥー・タントラでは、「アムリタ」は、「チャンドラ」で作られ、左管を通って下り、全身に回りつつ、臍下部もしくは会陰部の「スーリア」で消費されてしまいます。
つまり、人間の生命力は、アムリタとして現れ、それが「スーリア」による消化や、性器による性行為によって消費されることで、老化し、死ぬのです。

ちなみに、この考えは、道教の仙道でもほとんど同じです。

それに対して、首の筋肉を締めて(ジャーランダラ・バンダ)、軟口蓋の上方に舌をつける瞑想(ケーチャリー・ムドラー)によって、垂れた「アムリタ」を舌と喉のヴィシュディ・チャクラで受け止めて(飲む)「アムリタ」を消費せずに、全身に回して滋養することができます。

あるいは、「逆行の行(ヴィパリータ・カラニ)」によって、性的エネルギーを「チャンドラ」まで上昇させたり、「チャンドラ」から垂れた「アムリタ」混合して上昇させたりします。
また、性ヨガ(ヴァジローリー・ムドラー)によって「ビンドゥ」と「ラジャス」を混合し、身体を浄化・滋養します。
これらの行は、錬金術的な哲学とも対応しています。

後期密教の行法においては、「白いティクレ」を融解して「菩提心」を垂らしたり、「赤いティクレ」を発火させて上昇させたりします。
そして、両者を混ぜたり、それによって全身を滋養したりします。
また、すべての風を「不滅のティクレ」に流入させることもあります。

そして、頭頂のチャクラに「ヘールカ」がいて、「菩提心」が垂れると、各チャクラにいるダキニと合一すると考えました。
特に、臍下のチャクラの「チャンダリー」を明妃「ヴァジュラ・ヴァーラーヒ(ダキニ)」としました。


<輪廻の霊的生理学>

後期密教では、輪廻のプロセスが、霊的生理学からも説明がなされるようにいなりました。

死に際しては、順に、以下のような現象が起こります。

1 全身のナーディの中のプラーナがすべて左右管の中に入る

2 頭頂の左右管の結び目がほどけて、胸より上の左右管の中のプラーナが中央管に上の穴から入り、頭頂のチャクラの中にある「白い心滴」が胸のチャクラの上まで降りて来る

3 性器の付け根にある左右管の結び目がほどけて、胸より下の左右管の中のプラーナが中央管の下の穴から入り、へそのチャクラの中の「赤い心滴」が胸のチャクラの下まで昇ってくる

4 中央管の中のプラーナが胸に集まり、胸チャクラの上下の結び目がほどかれ、「白い心滴」と「赤い心滴」が「不滅の心滴」に溶け込み、微細な意識がすべて崩壊する

次に、中有のプロセス(死後の霊的存在の期間)です。

5 死後3日ほどで肉体にあった「不滅の心滴」から、「白い心滴」が離れて性器の先から、「赤い心滴」が離れて鼻から対外に排出され、肉体は腐り始める
同時に、不滅の心滴は開かれ、極微の意識とプラーナが外に出ていき、中有の霊的な身体が誕生する

6 霊的な身体は7日ほどの寿命で、7日ごとに死と、中有の体の再生を繰りかえし、最大で7回、49日の間、中有に留まる

次に、受胎のプロセスです。

7 再生を前にした中有の者は、父と母の性行を見ると、どちらかに欲望、一方に怒りを感じながら、中有の身体は死に、母の子宮に入る

8 父と母は、性行によって、それぞれ、「白い心滴」、「赤い心滴」が放出され、子宮の中で混ざって「不滅の心滴」となり、そこに中有の者の意識が入り込む

9 「不滅の心滴」から順次、中央管、左右管、全身の脈管、肉体が作られていく
また、「不滅の心滴」から一部が頭頂と臍下のチャクラへと分かれて行き、「白い心滴」、「赤い心滴」になり、それぞれが全身を滋養する

最後に、誕生のプロセスです。

10 誕生時には、4人の女尊が歌を歌い、中央管に中に入って覚醒を促すと、中央管に中にあった主要なプラーナが、中央管の外に出て、この時、赤ちゃんは呼吸と、知覚を始める



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