シヴァ教 聖典シヴァ派(シャイヴァ・シッダーンタ) [中世インド]

「シャイヴァ・シッダーンタ(聖典シヴァ派)」は、8Cにカシミールで、パーシュパタ派を母胎として徐々に成立しました。
派の名前は、「確立されたシヴァ教の教え」という意味です。
シヴァ聖典を解釈する学派のような存在です。

カシミールを中心としたサンスクリット語を使う「サンスクリット・シャイヴァ・シッダーンタ」と、南インドのタミル語を使う「タミル・シャイヴァ・シッダーンタ」があります。

タミルには10Cに伝来し、チョーラ朝と結びついて発展しました。
聖典は12Cからタミル語で書かれるようになり、タミルに特徴的なバクティ思想の影響を受けながら、多様に展開しました。
タミルの「シャイヴァ・シッダーンタ」の初期の重要な人物は、メイカンダールです。

「シャイヴァ・シッダーンタ」の思想は次のようなものです。

存在を、「パティ(主)」である最高神のシヴァ、「パシュ(家畜)」である「個我」(本来はシヴァと一体)、そして、「パーシャ(縄)」である「個我」をシヴァから離し制限する覆い、3つに分けることは、パーシュパタ派を継承しています。

「パーシャ」には、「個我」の根源的な汚れ「マラ」、原物質・質料因の「マーヤー」、「カルマ(業)」があることも同じです。


「最高シヴァ(パラマ・シヴァ)」は妃の「シャクティ」と一体の存在で、「個我」を救済するために「創造」、「維持」、「帰滅」、「隠蔽」、「恩寵」という5つの働きを行います。

「シヴァ」は「シャクティ」を通して「マーヤー」に働きかけて世界創造を行います。
「マーヤー」は神自身のエネルギー(シャクティ)ではなく、「ビンドゥ」から発生したものです。
この考え方は、「シヴァ」の純粋性を保持するものであり、二元論的な思想です。


「個我」の汚れが弱まった時点で、シヴァが人間のグルの姿で現れて、「ディークシャー(儀式)」を行なって、「個我」の汚れを切り離します。
これによって、死の際に解脱をします。

「個我」は、「シヴァ」の「恩寵」を契機として、自身と同一の「シヴァ」の本質を理解して、救済されます。
ですから、「恩寵」と善行(徳目)を重視し、儀礼やヨガは重視しません。

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