アルベルト・ヴィロルドのワン・スピリット・メディスン [現代]

アルベルト・ヴィロルド(ビジョルド)は、ネオ・シャーマニズムの旗手の一人です。

彼は、アンデス、アマゾンのシャーマンに学んだため、マイケル・ハーナー同様に、トリップ体験をもとにした治療を重視します。
ですが、メキシコのトルテック系のカルロス・カスタネダやドン・ミゲル・ルイスのように、精神の解放も目的とし、さらに、エネルギー・フィールド(霊体)を利用した治療も行います。
また、ユング心理学にも興味を示し、イメージや象徴を重視して、心理療法のような手法も使います。

このように、ヴィロルドは、ネオ・シャーマニズムの諸潮流を統合する位置にいます。

ヴィロルドには多数の著作がありますが、日本で翻訳のある「ワン・スピリット・メディスン」と、彼のウェブサイト、ブログの記事を元に、彼の思想の一面を紹介します。

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<ヴィロルドの歩み>

アルベルト・ヴィロルドは、1949年、キューバ生まれの心理学者、医療人類学者です。

ヴィロルドは、サンフランシスコ州立大では博士号を取得し、同大学の非常勤教授時代には、生物学的自律研究所を設立しました。
そして、そこで、エネルギー医学の観点から、脳と心因性の病気や健康の関係を研究しました。

その後、研究範囲を広げて、精神の影響を対象とする必要を感じ、アンデスとアマゾンでシャーマンの治療法の研究を始めました。
1970年から79年にかけては、ペルーの高名なシャーマンのドン・エドゥアルド・カルデロンの調査を行い、弟子になりました。
ヴィロルドはこのシャーマンの影響を受けています。

こうしてヴィロルドは、独自のヒーリング手法を編み出しました。
彼の手法は、食からエネルギー・フィールドまでを含む全体的なものです。

ヴィロルドは、活動的な人物で、「フォー・ウィンド・ソサエティ」、及びチリの「エネルギー・メディスン・センター」のディレクターであり、「ライトボディ・スクール」の設立者です。

ヴィロルドには、スタンリー・クリップナーとの共著「魂の癒し手」(1987)、「シャーマン、ヒーラー、セージ」(2001)、「4つの洞察力」(2007)、「勇気ある夢」(2010)、「パワー・アップ・ユア・ブレイン」(2011)、「グロウ・ア・ニュー・ボディ」(2019)など、多数の著作があります。
日本で翻訳されているのは、「ワン・スピリット・メディスン」(2015)のみです。

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<ワン・スピリット・メディスン>

ヴィロルドは、病気と治療に関して「ワン・スピリット・メディスン」という考え方、治療体系を提唱しています。
著書「ワン・スピリット・メディスン」によれば、これは病気の原因も治療法も一つである、というシャーマンの考え方です。

病気の原因は、「グレート・スピリット」からの隔絶であり、治療法は、すべての存在(グレート・スピリット)と一体になることです。

ですが、具体的な方法としては、次のように複数に分けられます。

・食事療法
・個人の内なる地図の塗り替え(エネルギー・メディスン)
・ヴィジョン・クエスト


「食事療法」は、断食、植物中心の食生活によるデトックス、スーパーフード、スーパーサプリなどによる栄養素の摂取、プロバイオティクスなどによる腸内環境の調整などです。

ヴィロルドは、大脳辺縁系に蓄積された制約的な信条、無意識のプログラムを「専制君主」と呼びます。
これは恐怖や怒り、苦悩などの有害な感情をつきまとわせるもので、トラウマ体験があればここに埋め込まれています。

ヴィロルドの「専制君主」は、カスタネダの「捕食者」やルイスの「パラサイト」に似た存在です。
ですが、ヴィロルドの場合、それを言語的なもの(左脳)とするのではなく、大脳辺縁系(哺乳類脳)の働きとする点が特徴です。

ヴィロルドは、「食事療法」がこの大脳辺縁系をアップグレードする力を持っていると言います。


次の「個人の内なる地図の塗り替え」というのは、個人のアイデンティティや人生観を変えることです。
この「地図」は、外界の認識や信条も作っています。

ヴィロルドは、これらを担っているのは大脳新皮質だと言います。
大脳新皮質のプログラムは、創造に関わるもので、「ワン・スピリット・メディスン」によって活性化されます。

大脳新皮質の右脳は神話によって起動します。
そのため、「新しい自分の神話」を見つけることで、「個人の内なる地図の塗り替え」が可能となります。

つまり、自分をヒーローとする神話的な人生の新しい自己イメージを作ることです。
そしてそれは、有機的・調和的な世界観と、死の恐怖のない全体との一体感を伴うものです。

ヴィロルドは、「日常的リアリティ/非日常的リアリティ」という区別を、量子力学の比喩から「粒子の状態/波の状態」と表現します。

夢や神話、エネルギー・フィールドは、「波の状態」に当たります。
「ワン・スピリット・メディスン」は、夢に見た世界を現実にしてくれると言います。
そして、神話は、エネルギー・フィールドに働きかけること(エネルギー・メディスン)で、健康になる遺伝子のスイッチをオンにすることができます。

「新しい自分の神話」作りには、「メディスン・ホイール」を利用すると便利です。
「メディスン・ホイール」は、4方位に動物を配置する世界観であり、それぞれの方向に対応する元型的な物語(地図)があります。
それらをつなげることで、全体としての「新しい自分の神話」を作ります。

1 南:蛇      :ヒーラーの旅
2 西:ジャガー   :聖なる女性性への旅
3 北:ハミングバード:賢者の旅
4 東:鷲      :ヴィジョナリーの旅

1の「ヒーラーの旅」では、過去の自分の社会的な役割を脱ぎ捨てます。
これは男性性の癒しの旅です。

この段階で行うヒーリング手法としては、不快な自分の役割を紙に書いて焼くといった儀礼的方法があります。
また、エネルギー・フィールドから古い刷り込みを消す「イルミネーション・ワーク」(詳細は後述)も行います。

2の「聖なる女性性への旅」では、女性性のエネルギー、死に直面します。
死の恐怖を解放するために未知への敷居を跨ぎ、女神から贈り物をもらいます。

この段階で行うヒーリング手法としては、やはり、エネルギー・フィールドから病気の痕跡を消し、チャクラの重たいエネルギーを解放する「イルミネーション・ワーク」を行います。

3の「賢者の旅」では、沈黙・静寂を学びます。
言葉のない沈黙の知によって、自分たちが現実を考えているものが幻想であり、共同で創造しているものに過ぎずないことを理解します。

この段階で行うヒーリング手法としては、呼吸に集中して自分を観察する方法があります。

4の「ヴィジョナリーの旅」では、自分が全体の一部であると理解し、創造に参加し、叡智を他人と共有します。
天上への旅によって、叡智を持ち帰ったりします。

この段階で行うヒーリング手法としては、未来の自分を「見る」ことで成長を促す方法があります。

以上の「新しい自分の神話」は、変性意識や夢見でヴィジョンとして見るのではなく、瞑想的な方法によって時間をかけて内面化するのでしょう。


次の「ヴィジョン・クエスト」は、「グレート・スピリット」とつながることです。
「グレート・スピリット」は、見えないマトリックス、宇宙の知的フィールドであり、生命を調和させる力です。

「ヴィジョン・クエスト」は、「メディスン・ホイール」の4つの物語を内面化できて始めて、試みることができます。

「ヴィジョン・クエスト」では、食事制限をした後、野外で3日間、動かずに過ごしてヴィジョンを得ます。
多くの場合、現れたパワー・アニマルと対話を行い、その動物になる想像をします。

また、「ヴィジョン・クエスト」とは違いますが、様々な「地下世界への旅」を夢見で行うことも、ヒーリングの方法です。(詳細後述)

「新しい自分の神話」や、ヴィジョンの旅など、ヴィロルドは、象徴的なイメージや心理療法的とも言えるようなヒーリングを重視するのが特徴です。


<光が輝くエネルギー・フィールド(LEF)>

ヴィロルドは、人間のエネルギー・フィールドを「光が輝くエネルギー・フィールド(LEF)」とか「ライト・ボディ」と呼びます。
LEFは、健康な状態では虹の色を放つので、「虹の体」とも呼びます。

LEFは、単に神経系の電気的活動によって生じるものではなく、身体、脳、神経系などを作り、調和させ、維持する情報を提供するテンプレート的存在です。
ここには、私たちの生き方、年齢、治癒方法、そして死ぬ可能性などの情報が含まれています。

このテンプレートには、私たちの個人的および先祖の記憶、幼年期のトラウマ、及び、以前の生の傷のすべての「アーカイブ」が存在します。

LEFは、「因果的(スピリット)」、「サイキック(魂)」、「感情的(心)」、「身体的」の4層から構成されています。
物理的なトラウマの痕跡は最外層、感情的な痕跡は2番目、魂の痕跡は3番目、精神的な痕跡は4番目の最深層に保存されています。

LEFの存在する病気の痕跡は、「イルミネーション・プロセス」(詳細は後述)によって消します。
これによってLEFの情報をアップグレードし、新たな神経網の形成を促したり、免疫系を強化して急速に病気を直すことができるようになります。


<イルミネーション・プロセス>

ヴィロルドが行うエネルギー・ヒーリングの中心にあるのは、彼が「イルミネーション・プロセス(イルミネーション・ワーク)」と呼ぶ方法です。

「イルミネーション・プロセス」は、「重い」生命エネルギーを、光に変換するもので、これによって、否定的な感情や行動を変え、免疫システムを強化して身体の治癒を促進させます。

「イルミネーション・プロセス」には、3つの方法があります。

・チャクラの汚れを燃やす。
・身体的および感情的な病気の痕跡の有毒なエネルギーを燃やす
・痕跡を綺麗にする

最初のチャクラの浄化法は、次のように行います。

まず、ヒーラーがLEFで患者を包み込んだ後、患者の頭を両手で抱きしめ、後頭部の下部に手を当てます。

そして、障害のあるチャクラに手を当てて、反時計回りに3〜4回回転させます。
これによって、チャクラの重いエネルギーが燃焼して排出されます。

次に、頭上の8番目のチャクラに輝く太陽を視覚化し、右手で光を集めて、患者のチャクラに金色の光のシャワーを浴びせます。
そして、後頭部の下部に手を再び持って行き、数分間、保持します。

最後に、チャクラを時計回りに3〜4回回転させてバランスを調整し、ヒーラーのLEFを閉じて、頭上の光球に戻します。


<集合点の移動>

ヴィロルドは、カスタネダが言う知覚の「集合点の移動」という考え方を継承しています。

ですが、ヴィロルドのそれは、カスタネダのそれとは大きく異なり、むしろ、ゴールデン・ドーンやクリヤ・ヨガの行法に近いものです。
ヴィロルドの方法では、4つのチャクラの場所に「集合点」を移動して、それぞれの意識を感じるのです。

ヴィロルドによれば、「集合点」はチャクラを介して受信した超感覚情報を知覚します。
そして、普通の人間の「集合点」は、グレープフルーツほどの大きさで、頭上6〜8インチの8番目のチャクラ(ウィラコチャ=グレートスピリット)の位置にあると言います。

「集合点」の移動は、次のように行います。

まず、患者の「集合点」の位置を、手の感覚を使って、体を走査することで見つけます。
感覚的には、異常に熱かったり、冷たかったりします。

そして、「集合点」の位置を頭上の8番目のチャクラに持っていきます。
次に、「蛇」の領域である基底部のチャクラに移動、保持し、それを感じてから、また、8番目のチャクラに戻します。

同様に、次は、「ジャガー」の領域である2番目のチャクラに移動、保持して、戻します。

次に、「ハチドリ」の領域である眉間のチャクラに移動、保持して、戻します。

最後に、「イーグル」の領域である頭上のLEFの外にある9番目のチャクラに移動、保持し、戻します。
そして、自然全体とのつながりを体験します。


<聖なる空間を作る>

ヴィロルドは、「聖なる空間」の瞑想(魔術的な結界)を重視します。
治療を行う時にも、トランス的夢見の状態で異世界への旅に出る時にも、最初にこれを行います。

これは、東西南北の4方向と、母なる地球と、父なる空の、6つのスピリットを呼び出す方法です。
4つの方角の動物は、南が「蛇」、西が「ジャガー」、北が「ハチドリ」、東が「イーグル」です。

次に、頭上の8番目のチャクラに、小さな輝く太陽を視覚化し、手をそこに触れて、その光が体を包み込むように降ろします。

最後に「小さな死の呼吸」を行います。
これは、吸気、止気、呼気のそれぞれで7カウントしながら、7呼吸することで、心を落ち着かせる方法です。


<地下世界への旅>

ヴィロルドは、様々な目的で、地下世界の庭や部屋への旅を行い、ヒーリングのために利用します。
旅は、基本的には患者自身が夢見として行い、ヒーラーはそれをサポートします。

例えば、次のような旅です。

・パワー・アニマルを見つける旅
・原初のエデンへの旅
・4つの部屋への旅

それぞれの場所に行くには、地下世界の門番に行先を説明して案内してもらいます。
それぞれの場所では、観察し、感じたり、会話をして知識を得たりします。


ヴィロルドは、パワー・アニマルとは、しばしばその人の無視された部分や影の部分を象徴するもので、人を自然のままの状態につなげると言います。

その獲得方法は、地下世界の聖なる庭に行き、石の上に座って待っていると、パワー・アニマルが背後から近づいて来るのです。
パワー・アニマルとは、会話をして、連れて帰ります。


「原初のエデン(プライベート・エデン、聖なる庭)」は、偉大な母の命を与える子宮であり、癒しを与えてくれる場所です。
「エデン」は地下世界にあるとも、地下世界がそのまま「原初のエデン」であるとも考えられます。

「原初のエデン」に行ってそこを観察し、そこで安らぎ、そこの自然と会話をすることで、自分の失われた魂の部分、恵みや無邪気さを取り戻すことができます。


「4つの部屋」というのは、「傷の部屋」、「契約の部屋」、「恵みの部屋」、「宝物の部屋」の4つです。
これらは「エデン」の一部と考えられます。

「傷の部屋」は、最初に行くべき場所で、魂の一部が逃げてしまうような、深く埋もれた傷を発見する場所です。
どのような傷を受けているか、象徴的・演劇的に示されるかもしれません。

「契約の部屋」は、次に訪れるべき場所で、自分が作った魂の約束を発見する場所です。
その契約をした年齢の自分と出会い、その契約の説明を受けます。
それは、自分を苦しめるような約束なので、再交渉してこれを変更するのです。

「恵みの部屋」は、癒された魂の部分がある場所です。
ここには、完全な状態の自分がいますが、その自分は、年齢、性別が今の自分とは違った姿をしているかもしれません。
ここで、失われた魂の部分を取り戻した、調和の贈物を探します。

「宝の部屋」は、生活に役立つ贈物を獲得する場所です。
何らかの能力を伸ばしたい時に訪れます。
この部屋と贈物には、表面的なレベルのものから、深層的な(芸術的な)レベルのものまでがあります。


以上のように、様々な目的で様々な異界の場所へ夢見の旅に出るのは、ネオ・シャーマニストの中では、ハワイのフナのサージ・カヒリ・キングに似ています。


<過去と未来への旅>

ヴィロルドは、「過去」や「未来」への旅も行います。
これを過去や未来へ延びる「エネルギーの追跡」と呼びます。

未来への旅では、何らかの問題をかかえた患者が、癒された状態の自分、成功した自分を見ることで、癒しを得たり、あるいは前向きに創造的になります。

過去への旅では、病気や何からの問題の原因が発生した過去の体験に戻り、その原因を見つけます。
そして、それを受け止めることで、問題を解決するよう前向きになります。


Albert Villoldo Ph.D.
The Four Winds 



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