シヴァ教 聖典シヴァ派(シャイヴァ・シッダーンタ) [中世インド]
派の名前は、「確立されたシヴァ教の教え」という意味です。
シヴァ聖典を解釈する学派のような存在です。
聖典は12Cからタミル語で書かれるようになり、タミルに特徴的なバクティ思想の影響を受けながら、多様に展開しました。
タミルの「シャイヴァ・シッダーンタ」の初期の重要な人物は、メイカンダールです。
「最高シヴァ(パラマ・シヴァ)」は妃の「シャクティ」と一体の存在で、「個我」を救済するために「創造」、「維持」、「帰滅」、「隠蔽」、「恩寵」という5つの働きを行います。
「マーヤー」は神自身のエネルギー(シャクティ)ではなく、「ビンドゥ」から発生したものです。
この考え方は、「シヴァ」の純粋性を保持するものであり、二元論的な思想です。
「個我」の汚れが弱まった時点で、シヴァが人間のグルの姿で現れて、「ディークシャー(儀式)」を行なって、「個我」の汚れを切り離します。
これによって、死の際に解脱をします。
ですから、「恩寵」と善行(徳目)を重視し、儀礼やヨガは重視しません。
ヴィシュヌ教パーンチャラートラ派 [中世インド]
この派の名前の意味は「五夜」であり、「五夜かけて行われる五の談義」などと解釈されています。
同じヴィシュヌ教の「バーガヴァタ派」との関係がはっきりしませんが、「バーガヴァタ派」の中でもタントラ的性質を持った一分派が「パーンチャラートラ派」のようです。
パーンチャラートラ派には、バラモン的要素とタントラ的要素があります。
また、「ヴィシュヌ・プラーナ」もパンチャラートラ派の文献とされています。
「知識」に属するものですが、パーンチャラートラ派には、次のような宇宙創造論があります。
活動エネルギーの「ラクシュミー(シャクティ)」が生まれ、質料因「ブーティ(ソーマ)」と手段因「クリヤー(アグニ)」に分かれ、さらに、6つの属性「全知・支配力・能力(シャクティ)・力・勇猛・威光」となります。
これら3神は、クリシュナの長兄、息子、孫でもあります。
「ヴァースデーヴァ」と「ヴューハ神」の4神は、第四位・熟睡・夢睡眠・覚醒という四段階の意識状態を司ります。
さらに、39の顕示神(化身)が生まれます。
そこから、個我の集合体である「クータスタ・プルシャ」と原材料の「マーヤー・シャクティ」が生まれます。
らさに、万物の運動を制御する原理の「ニヤティ」と、3種の「グナ」が生まれます。
しかし、質料因としての「プラクリティ」に、時間の「カーラ」が付け加えられます。
そのため、サーンキヤ哲学のプルシャ、プラクリティを、限定された存在として矮小化しています。
パーンチャラートラ派では、身分によって、拝むべき神格が決められています。
2 バラモンの祭祀者 :形を備えた最高神ヴァースデーヴァ
3 儀礼をおこなう祭祀者:マントラを伴うヴューハ神
4 下位3カーストの者 :マントラを伴わないヴューハ神
5 知識はないがバクティを捧げる4カーストの者:39の顕示神
観想やプラーナの操作する「ヨガ」は、「内的崇拝」と呼ばれ、外的な儀礼と対応関係にあります。
例えば、儀式のおける「火」は、「ヨガ」における「クンダリニー」が対応します。
これは、パーンチャラートラ派に限らない、ヒンドゥー系のタントラの特徴です。
パーンチャラートラ派に限りませんが、タントラでは「三密」、特に、「マントラ」が重視されます。
マントラは長さから4分類されます。
・ヴィージャ(種子) :一音節の母音のみもしくはプラス子音
・ピンダ(団塊) :複数の母音、子音の結合したもの
・サンジュニャー(名称):神の名前
・パダ(句) :神の属性を含む句
また、字母である音素を配列した車輪の形をした「チャクラ」というものがあり、そこから一定の規則で各神のマントラが抽出されます。
ヴァースデーヴァの6つの属性は、神の6つの肢体と、6つの「肢体マントラ」に対応します。
宇宙論の階層 |
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ヴァースデーヴァ(ブラフマン) ↓ ラクシュミー(シャクティ) ↓ 質料因ブーティ、手段因クリヤー ↓ 6の属性 ↓ 3人のヴューハ神 ↓ 12人の副次的ヴューハ神 12人のヴィディヤー・イーシュヴァラ神 ↓ 39の顕示神(化身) |
プラドゥユナム ↓ クータスタ・プルシャマーヤー・シャクティ ↓ ニヤティ、3グナ |
プラクリティ、カーラ ↓ ブッディ以下18原理 ↓ 粗大な5元素 ↓ 宇宙卵 ↓ 梵天 ↓ 世界 |
ヴィシュヌ教、シヴァ教、シャクティ教 [中世インド]
ですが、それぞれは主神が異なり、特に前2者はそれぞれを至高神とし、一元論的な思想も持つため、当サイトでは、「ヴィシュヌ教」、「シヴァ教」、「シャクティ教」と表現します。
<ヴィシュヌ教>
中心となるのは、クリシュナ信仰、ヴァースデーヴァ信仰、ラーナーヤナ信仰、ラーマ信仰です。
これらを除くと、純粋なヴィシュヌ信仰というのは、あまり内容のないものになります。
最高神に上り詰めるのは、他の信仰を取り入れたプラーナ文献の時代です。
これは太陽神「バガヴァット(=ヴァースデーヴァ)」を信仰するもので、-8C頃に生まれました。
神格化された父の「ヴァースデーヴァ」、その兄「サンカルシャナ」、息子「プラドユナム」、孫「アニルッダ」は、元来は同族の実在人物だったようです。
この信仰では、神へのバクティ(親愛)を重視します。
「マハーバーラタ」と諸「プラーナ」では、世界創造の最高神として、乳海の中で蛇のベッドの上で横たわる「ナーラーヤナ」の姿が描かれます。
この姿は、後に、ヴィシュヌやトリプラスンダリー信仰にも取り入れられます。
そして、「ナーラーヤナ」の4つの相の内の1つが「ヴァースデーヴァ」とされました。
必然的に、「ヴィシュヌ」は「ナーラーヤナ」とも同一視されます。
さらに、「ラーマーヤナ」の主人公で理想の君主である「ラーマ」も「ヴィシュヌ」の化身と考えられるようになりました。
教えを説くクリシュナがヴィシュヌの化身ですので、ヴィシュヌ教の、その神学が体系化する以前の表現であるとも言えます。
「カルマ・ヨガ」は、私欲を離れて結果を期待せずに仕事などの行為を行う道で、それによって、ダルマに一致し、カルマの影響を受けないとします。
「バクティ・ヨガ」は、最高神への「親愛」、「帰依」を行う道です。
カルマ・ヨガ、バクティ・ヨガ、ジュニャーナ・ヨガ
ヴィシュヌ教では、どの派も「ヴァースデーヴァ」を最高神としますが、「ラーナーヤナ」、「クリシュナ」、「ラーマ」については、諸派によって重要度が異なります。
哲人でも、ラーマーヌジャは「ナーラーヤナ」、マドヴァは「ラーマ」、ヴァッラバは「クリシュナ」と、重視する信仰が異なります。
<シヴァ教>
そのため、シヴァは、「マヘーシュヴァラ(大自在神)」、「ヴァイラヴァ(:シヴァの畏怖相)」、「マハーカーラ(大黒)」、「パシュパティ(獣主)」、「リンガ(:シヴァの男根相)」、「ナタ・ラージャ(舞踏王)」などなど、様々な名で呼ばれ、様々な相を見せます。
第一の妃は、パールヴァティですが、様々な女神がパールヴァティの生まれ変わりとされます。
また、シヴァの畏怖相の「ヴァイラヴァ」は、「七母神」や「八母神」と呼ばれる「母神(マートリ)」の夫となりました。
ですが、ヒンドゥーでは、ヴィシュヌが温和、シヴァが恐ろしい姿を代表します。
ルドラは火葬場や森といった恐ろしい場所の神になり、それらの場所の人々の神になったためでしょう。
リンガという男根相は、地方土着のニシャーダ族の信仰が習合したものです。
シヴァは、苦行者の巻き髪をし、天からのガンジスを頭で受け止める、虎の皮を腰に巻き、三日月の飾りをつけ、三叉戟とダルマ太鼓を持ち、牛を連れ、遺体の灰を体に塗って青白い肌の色をしています。
一般に、シヴァ教には、「パーシュパタ派」、「聖典シヴァ派」、「カシミール・シヴァ派」、「ヴィーラ派」、「カーパーラ派」、「カーラームカ派」、「ナータ派」などがあります。
苦の克服を重視する、日に三度の灰の沐浴を日課とする、高笑い・歌・踊り・牝牛の唸り声・礼拝・頌を唱えるという6種の奉納を勤めとする、市中で様々な奇行を行って非難に耐えることで業を浄化することを重視するなどです。
死期には火葬場に住んで、ルドラ=シヴァを観想し、死後に、シヴァと一体化する、もしくは、シヴァの御足に達することを目指します。
「パティ(主)」である最高神のシヴァ、「パシュ(家畜)」である「個我」(本来はシヴァと一体)、そして、「パーシャ(縄)」である、「個我」をシヴァから離し制限する覆いです。
「個我」の根源的な汚れ「マラ」、原物質・質料因の「マーヤー」、「カルマ(業)」です。
「カルマ」は、「個我」を世界に縛り付けるという悪業・悪行の意味だけでなく、「個我の汚れ」を落す善業・善行でもあります。
<シャクティ教>
ですから、シヴァ教と明確に区別することは困難です。
シャクティ教は、シヴァ教の中のタントラ的要素が強い派であるという側面もあります。
「ヴァイラヴィー」は畏怖相を意味する名前で、「ラリター」は温和相の女神です。
「トリプラスンダリー」は、金と銀と鉄でできた阿修羅の住む3都市トリプラの女神で、ドゥルーガーの一つの姿とされます。
これは、ナーラーヤナ、ヴィシュヌと同様の姿で、非顕現な宇宙の創造力を象徴します。
この聖典は、様々な神々の体から生まれるエネルギー「シャクティ」としての女神・女性原理が悪神を倒す物語が語られます。
この女神は、「デーヴィー」、「ドゥルーガー」、「カーリー」、「サプタ・マートリカー(七母神)」などの姿になり、「チャンディカー」=「激しく怒る者」など様々な呼び名で呼ばれます。
女神には、温和な相、官能的な相(シャクティ)、恐ろしい相(ヴァイラヴィー)、少女相(クマ-リー)などがありますが、「デーヴィー・マーハートミャ」やシャクティ教では、その忿怒、調伏の性格が強調されています。
これらの女神は、死と創造が一体の、エネルギーで、農耕文化の地母神の性質を受け継いでいるようです。
各項目で紹介する各派の宇宙創造論の階層を先に、参考に掲載します。
サーンキヤ哲学の25原理の上に、有神論的な原理を置くという共通性があります。
ヴィシュヌ教 パンチャラートラ派 |
シヴァ教 カシミール派 |
シャクティ教 シュリー・クラ派 |
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ヴァースデーヴァ/ラクシュミー | 最高シヴァ/シャクティ | シヴァ/シャクティ |
ブーティ、クリヤー ↓ 6の属性 ↓ 3人のヴューハ神 |
永遠のシヴァ 主宰神 清浄な知 |
永遠のシヴァ 限定されない能力 限定されない知 |
12人の副次的ヴューハ神 12人のヴィディヤー神 ↓ 39の顕示神 ↓ プラドゥユナム ↓ プルシャ、マーヤー ↓ ニヤティ、3グナ |
マーヤー カラー ヴィディヤー ニヤティ カーラ カーマ |
マーヤー カラー ヴィディヤー ↓ ニヤティ カーラ ラーガ |
サーンキヤ哲学25原理 (プルシャの代わりにカーラ入る) |
サーンキヤ哲学25原理 | サーンキヤ哲学25原理 |
カーラチャクラ・タントラの二次第 [中世インド]
このような構成は、「ヴァジュラパンジャラ・タントラ」を継承したものです。
2 宝冠
3 絹リボン
4 金剛杵と金剛鈴
5 行動
6 名前
7 許可
2 秘密
3 般若智
4 第四
これは、「世間の灌頂」の部分で、「結縁灌頂」に当たり、「前灌頂」とも呼ばれます。
各段階では、師がそれぞれに対応する小物で弟子の体に触れて加持を行うなどします。
ですが、阿闍梨になる時に、再度、「出世間の灌頂」が行われ、これは「後後灌頂」と呼ばれます。
「第四灌頂」では、「後灌頂」の際には「性ヨガ」の技法が伝えられ、「後後灌頂」の際に、言葉による真理の伝授が行われます。
「生起次第」は、次の4段階で行なわれますが、全体が、人間の受胎から成人までのプロセスと対応付けられています。
2 最高の勝利の活動 :諸尊の再出生し、灌頂を受ける観想(誕生・成長に対応)
3 ビンドゥ・ヨガ :チャンダリーの火と菩提心の下降による四歓喜(成人に対応)
4 微細ヨガ :微細ヨガ、身マンダラ、菩提心が頭頂へ上昇(成人に対応)
つまり、父からの「白い心滴」と、母からの「赤い心滴」と、意識(阿頼耶識)、意識を運ぶ微細なプラーナの4者が母胎で一体になり、「不滅の心滴」が生まれて受胎することを、下記のように象徴を使って観想します。
・赤い心滴 :子音の鬘が乗った赤い日輪
・意識 :白いフーム字or青い羅喉星
・プラーナ :黒いヒ字
・不滅の心滴:ハム字
これは、人間が受胎して胎内で成長するプロセスに対応します。
「カーラチャクラ」の忿怒形である「ヴァジュラヴェーガ」が、「カーラチャクラ」を捕まえ両手を縛って瞑想者の前に引き連れ、心臓に溶け込ませます。
そして、4つの灌頂で、身語心と智に対応する4仏が現れ、4つの心滴を浄化します。
また、7種の灌頂で、マンダラの諸尊を1と同様にして生み出し、身体に布置します。
・語 :宝生 :宝 :喉 :眠り :歓喜
・心 :不空成就:剣 :心臓 :熟睡 :忿怒
・大楽 :大日 :法輪 :ヘソ :三昧 :恍惚
・宝冠 :5仏 :五蘊
・絹リボン :10女神 :10プラーナ
・金剛杵と金剛鈴:カーラチャクラ、ヴィシュヴァマーター:左右管
・行動 :6菩薩、6金剛女 :六根(感覚器官)・六境(感覚対象)
・名前 :12忿怒尊 :6行動器官・6行動
・許可 :金剛薩埵、般若波羅蜜仏母:純粋意識
「究竟次第」は、「六支ヨガ」と呼ばれ、次の6段階で行なわれます。
2 禅定:中央管の上部に父母仏を観想して浄化
3 止息:瓶ヨガによってプラーナを中央管に流入
4 總持:中央管にプラーナを保持
5 憶念:上からと下からの四歓喜を得る
6 三昧:菩提心を蓄積して四身を得る
プラーナを中央管から胸のチャクラにある心滴に流入させることでし、臨死の10のヴィジョンを体験します。
10のヴィジョンは、「秘密集会タントラ」の五相と四空を再解釈したもので、4つの「夜のヨガ」と6つの「昼のヨガ」に分けられます。
また、10のヴィジョンは10種のプラーナと女尊に対応しているとされます。
1 煙
2 陽炎
3 蛍光
4 灯明
1 火焔
2 月
3 太陽
4 羅喉星
5 閃光 :プラーナ:金剛界自在母:本当の光明
6 青い滴:アパーナ:ヴィシュヴァマーター
最後の「青い滴」(マハービンドゥ)では、宇宙の森羅万象が現れるとされます。
このように、「カーラチャクラ・タントラ」の「究竟次第」は、「死のヨガ」を先に行い、その後に「性のヨガ」を行うので、母タントラが優位と言えます。
ちなみに、「秘密集会タントラ」とは違い、「カーラチャクラ・タントラ」は、「性ヨガ」の時に、生身の女性でなく、観想でも悟れるとします。
自分自身を「カーラチャクラ」であると観想し、5仏母、10女尊と交わると観想し、ヘソのチャクラの「チャンダリーの火」を点火します。
これを「上から降りる四歓喜」と呼びます。
最後の歓喜は「不変の楽」とも呼ばれ、この時の無分別の状態に「空」の認識を加えます。
これを「下から堅固になる四歓喜」と呼びます。
これを「菩提心の積聚」と呼びます。
・心臓:「心の心滴」:無概念の意識を生み出す→法身
・喉 :「語の心滴」:音の現れを生み出す →報身
・ヘソ:「智の心滴」:快楽を生み出す →倶生身
一方、「法身」は「智法身」とも呼ばれ、真理を認識してそれと一体化した智です。
密教ではプラーナも含めてすべては業によって生まれるもので、21,600の心滴によって、すべての業が浄化されると考えるのです。
これは「虹身」とも呼ばれ、微細身、極微身を越えた身体のようです。
また、「カーラチャクラ」を「空色身」、妃の「ヴィシュヴァマーター」を「不変の大楽」の象徴とし、その父母仏を「双運」の象徴とします。
カーラチャクラ・タントラの思想 [中世インド]
マクロコスモスとして宇宙の生滅と、ミクロコスモスとしての生物の輪廻(身体)と、それらをシミュレートする行法(二次第)3つです。
・内:衆生世間(身体構造):輪廻
・別:マンダラ・二次第 :行法
イスラム教の神は偶像がないため、シヴァとカーマを踏んでいますが、実際にはイスラム教の調伏を中心とする存在です。
しかし、同時に、「カーラチャクラ・タントラ」が生まれた場所や、その占星学的思想を考えると、イラン系の「無限時間」の至高神「ズルワン」や、シーア派、ミール派イスラムの「時の主」の影響も考えるのが妥当でしょう。
「カーラチャクラ・タントラ」は、「金剛薩埵」を含む6如来の6部の体系で、これを徹底しました。
6部の対応は下記の通りに整理されました。
・阿閦 :空:中央:青:識:風
・大日 :地:西 :黄:色:便
・阿弥陀 :水:北 :白:受:精液
・宝生 :火:南 :赤:想:血液
・不空成就:風:東 :黒:行:尿
また、五仏の色は、「真実摂経」や「秘密集会タントラ」と異なり、むしろ「幻化網タントラ」を継承しています。
色は五大との対応が優先されているようです。
ただし、方位の対応には独自性があります。
左右管はヘソで交叉するので、上下で分けて6脈と考えて対応づけました。
各チャクラの観想における種字と光輪も含めた対応は、下記の通りです。
・眉間:左管の上半分 :阿弥陀 :オーム :白い月輪
・喉 :右管の上半分 :宝生 :アーハ :赤い日輪
・心臓:左管の下半分 :不空成就:フーム :黒いラーフの輪
・臍 :右管の下半分 :大日 :ホーホ :黄のカーラーグニの輪
・男根:中央管の下半分:阿閦 :クサーハ:青い深層意識の輪
マンダラの主要な尊格は36尊で、6如来、6仏母、6菩薩、6金剛女、6忿怒、6忿怒妃の構成です。
尊格とその象徴との対応関係は、下記の通りに整理されました。
・5仏 :五蘊
・4仏母 :四大
・6菩薩 :五根(感覚器官)+意識
・6女菩薩 :五境(感覚対象)+その他の現象
・10女尊(シャクティ):10のプラーナ
・6忿怒尊 :6行動器官
・6忿怒女尊:6行動
・12護法尊 :12ヶ月
・28葉女神 :28日
ですが、「カーラチャクラ・タントラ」は、マンダラの要素と須弥山宇宙像との対応を細かく設定して、両者を統合しました。
四方にはプラーナを象徴する4女神、四隅には「夜のヨガ」で現れる4ヴィジョンを象徴する女神です。
4仏と4仏母は、それぞれが父母仏として存在します。
また、各母天の回りには8人のヨーギニーがおり、合計64ヨーギニーが配置されます。
また、神々は妃を伴っており、男性神は新月の日、女性神は満月の日とされ、その周りには、1カ月の残りの28日に対応する女神が配置されます。
・火輪:赤: :喉 :腕の関節から首まで
・水輪:白:口密マンダラ:心臓:肩から腕の関節まで
・地輪:黄:意密マンダラ:ヘソ:脊髄から肩まで
また、「カーラチャクラ・タントラ」は「時」を重視するので、輪廻、一日の意識状態、宇宙の生滅のサイクルを対応させました。
これらは、従来のタントラの教義の延長上にありますが、4局面のサイクルとして、下記の通り、仏身、心滴、尊格の種類などと対応づけて、体系化しました。
・法身 :死 :熟睡:壊劫:心臓:仏・仏母
・報身 :中有:夢 :空劫:喉 :菩薩・金剛女
・応身 :生 :覚醒:住劫:頭頂:忿怒尊・忿怒女尊
一方、「法身」は「智法身」とも呼ばれ、真理を認識してそれと一体化した智です。
四身説は無上ヨガ・タントラで生まれたものです。
カーラチャクラ・タントラとシャンバラ伝説・終末論 [中世インド]
プトゥンが、「父タントラ」と「母タントラ」を統合する「不二タントラ」と分類したように、これまでのすべての密教を、教説の点からも実践の点からも統合しようとした経典です。
また、イラン系神智学の影響を受け、インド神智学との融合が果たされました。
「カーラチャクラ・タントラ」の根本タントラとされるのは「吉祥最勝本初仏タントラ」ですが、これは仏陀がシャンバラ王スチャンドラに説いたとされる伝説上のタントラであり、現存していません。
その要約とされる軽タントラの「ラグタントラ」が、現存する最初のタントラで、通常、「カーラチャクラ・タントラ」と言えばこのタントラを指します。
ですが、このタントラも、シャンバラ8代王ヤシャスが編集したという伝説が設定されています。
このタントラは、暗号的で隠語を多数使用して書かれているので、通常はその注釈「ヴィマラプラバー(無垢光)」によって理解されます。
このタントラも、シャンバラ9代王プンダリーカが書いたという伝説が設定されています。
ですから、イスラム教の支配下の中央アジアか西北インドで、パルシー教やイスマーイール・パミール派の影響を受けた、イラン系の人間によって書かれたと予想されます。
また、占星術上の計算から、「ラグタントラ」が書かれた都市、及び伝説上の王国シャンバラのモデルは、中央アジアのボハラ当たりではないかと考えられます。
「ラグタントラ」を書いた8代王ヤシャスは、文殊菩薩の化身で、「カーラチャクラの大灌頂」を行い カーストを廃止して、初代の「カルキ」と呼ばれました。
しかし、シャンバラは、雪に覆われた山脈に囲まれた場所にあるのですが、イスラム教勢力が盛んな間は、姿を隠していて、一般人は近づくことができないとされます。
アブラハム、モーゼ、イエス、マニ、ムハンマドといった外道の教師の名を挙げており、こういった外道を信じる者が、シャンバラ以外の地で仏教を消していきます。
初代「カルキ」のヤシャス王から数えて、25代目の「カルキ」で文殊菩薩の化身のラウドラチャクリンの時、外道(イスラム教徒)の王が攻めて来ますが、この戦争に勝利します。
「ラウドラチャクリン」の名は、「輪を持った怒るもの」という意味で、「輪」は鉄製の武器でもあり、仏法のことでもあります。
ラウドラチャクリンが王に即位するのは、西暦で2327年と解釈されています。
ヴェーダの教えが廃れ、仏教がカースト制を否定して乱れた世界に、「7聖仙」と、ヴィシュヌが白馬に乗った騎士の姿のシャンバラ王「カルキ」に化身して現れ、秩序を回復する、というものです。
ただし、「カーラチャクラ・タントラ」は、カースト制を廃止するという方向に、話を逆転させています。
ゾロアスター教の終末に現れる聖王と救世主サオシャントもその一つです。
白馬に乗った騎士の姿のシャンバラ王「カルキ」は、「白馬に乗って現れる終末の救世主ミトラ」のヒンドゥー版です。
イスラム教では、救世主はアル・マフディーになりますが、シーア派イスラムでは、霊的次元に退いた「隠れイマーム」が、終末に「時の主アル・マフディー」として現れます。
シャンバラが姿を隠している点は、シーア派の「隠れイマーム」の影響でしょう。
しかし、それが可能だったのは、「ヴィマラプラバー」が書かれたのが、またイスラム教の脅威が迫っていなかったベンガルのヴィクラマシーラ大寺院だったからかもしれません。
他にも、作家ジェイムス・ヒルトンの「失われた地平線」に出てくる理想郷「シャングリ・ラ」に影響を与え、宗教学者ミルチャ・エリアーデの小説「ホーニヒベルガー博士の秘密」のテーマにもなりました。
その一方で、ナチ・オカルトにも影響は及びます。
チャクラサンヴァラ・タントラの究竟次第 [中世インド]
<流派と究竟次第>
サンヴァラ系には、クリシュナ流、ルーイーパ流、ガンターパ流という、主要な3流派があります。
クリシュナ流はジュニャナパーダ流と関係が深いようです。
以下に、まったく異なるクリシュナ流とガンターパ流の「チャクラサンヴァラ」の究竟次第を紹介します。
クリシュナ流の究竟次第は「四次第」と呼ばれます。
「チャンダリーの火」とビンドゥ・ヨガで甘露を混合するヨガです。
1 タントラ次第
四輪三脈の観想です。
2 マントラ次第
ヘソのチャクラのアム字を観想して微細な「智慧の火」を点火、これが上昇し、胸のチャクラの五字を燃やす。これによって思考をなくします。
次に、「火」を喉と頭頂のチャクラを経て、眉間と耳から出します。
「火」は、一切如来の頭頂から入り、胸のチャクラの五字を燃やし、一切如来の頭頂から出て、修行者の頭頂から体に戻ると観想します。
そして、「火」は、胸のチャクラを再び燃やします。
3 智慧の次第
「智慧の火」が一切如来の頭頂のハム字を燃やすと、「法界智の甘露」が分泌され、胸で「智慧の火」と混合し、再度上昇して頭頂から抜け、実践者の頭頂から入ると観想します。
そして、「火」は胸のチャクラ、ヘソのアム字とチャクラに至り至福を感じます。
4 秘密の次第
以上の次第で体験された無思考の「倶生智」の教義的な説明を受けて理解します。
以上、特徴的なのは、「火」の上昇と「甘露」の下降の間で、「火」を体外に排出し、一切如来の「火」、「甘露」と一体化させる観想を行う点です。
一切如来との間で移動は観想ですが、排出は実際に行うのでしょう。
次に、ガンターパ流の究竟次第は「五次第」と呼ばれます。
これも基本的には「チャンダリーの火」と「甘露」を混合するヨガです。
1 自加持次第
:五感覚器官(目・鼻・舌・耳・性器)に「心滴」を観想して集中することで、感覚を統制します。
これを胸に観想した「赤白の心滴」に集めると、胸の「心滴」が燃やします。
次に、煩悩を起こさせる対象を感覚器官に観想した「心滴」に吸着させて、煩悩を消滅させます。
これを胸に観想した「赤白の心滴」に集めて、「心滴」を虚空に収束させ(随滅)、今度は逆転して、自身をヘールカとして出現させる観想を行います。
感覚器官に観想した「心滴」を胸の「心滴」に集める際、実際にプラーナを移動、流入させるようです。
これは、「風のヨガ」の一種です。
2 種々羯磨杵次第
:頭上に法源の中にある金剛杵の中に、赤白の光を放つ「心滴」があり、それが頭頂から入って全身を光で満たすと観想し、無思考になります。
5感覚器官に法源の中の金剛杵を観想すると、感覚に乱されなくなり、様々な神通を得ます。
次に、チャクラに種字と「心滴」を観想し、光を放射すると観想すると、様々な神通を得ます。
1で感覚器官から吸着した観想した「心滴」とプラーナを、浄化した形で感覚器官に再放出するのでしょう。
感覚器官に、プラーナと共に「楽」を送ることで、感覚を活性化し、浄化するのでしょう。
3 摩尼充満次第
:性ヨガによって性器の「菩提心」で「楽空双運」の境地を得ます。
4 ジャーランダラ次第
ヘソに五色の5つの「心滴」を観想して「チャンダリーの火」を燃え上がらせ、それを上昇させ、右鼻から排出します。
その「火」が一切如来の右鼻から入って下降してヘソの「チャンダリーの火」と混ざり、再上昇して頭頂の「甘露」が垂れ、左鼻から排出され、行者の頭頂から入ると観想します。
「甘露」はヘソに至り、「歓喜」を感じます。
「火」の上昇・排出と「甘露」の下降を、一切如来のそれの観想を結びつけた行法です。
5 不思議なるウディヤーナ次第
:すべてを虚空に解消して無思考になる「随滅」を行い、次に、反転して、自身をヘールカとして現し、身マンダラと世界を出現させ、世界を「空」と理解します。
この時、実際にプラーナのコントロールで胸の「心滴」に収束する「聚執」を行い、そこから反転して、「幻身」を立ち上げます。
1、2で、観想とプラーナのコントロールで感覚を浄化するの特徴です。
1で中央管にプラーナ流入させ、2でチャンダリーを燃やして、4つのチャクラと感覚器官に金剛杵と種字を付置するという行法もあります。
3、4で、「四歓喜」を体験する行法もあります。
以上のように、1、2は「死のヨガ(聚執)」に類する行法ですし、3、4で「性のヨガ(チャンダリーの火)」を行なった後、5で「死のヨガ」を行いますので、ガンターパ流は「父タントラ」の傾向が強いと言はえます。
チャクラサンヴァラ・タントラの思想 [中世インド]
「サンヴァラ」とは、「集会の輪が生み出す至福」の意味で、饗宴的性ヨガ行の「ガナチャクラ」を背景とする言葉です。
「母タントラ」の中でも、晩期に生まれたため、最も体系性が高い経典です。
「チャクラサンヴァラ・タントラ」は下記の神話を語ります。
37尊は三十七菩提分法と対応づけられます。
ですから、一応は5部の体系です。
2 心輪
3 語輪
4 身輪
5 三昧耶輪
ただ、従来のように女尊は8人ではなく、四隅にはカパーラ(髑髏杯)が配置されるのが特徴です。
24の聖地は、10に分けられ、十地に対応づけられています。
これは「へーヴァジュラ・タントラ」を継承しています。
この「ガナチャクラ」は一晩をかけて行い、天体の動きに合わせて、女性行者が移動をしていきます。
4つのチャクラに4つの仏身が対応し、三身に加えて「大楽身」という概念がありますが、これも「へーヴァジュラ・タントラ」から取り入れたようです。
・大楽輪:頭頂:大楽身:ハム :ヘールカ(甘露)
・報輪 :喉 :報身 :オーム
・法輪 :胸 :法身 :フーム
・応輪 :ヘソ:応身 :アム :ヴァーラーヒー(智慧の火)
・清浄輪:眉間
・秘密輪:性器
・アヴァドゥーティー:中央管:二項の止揚
・ララナー :左管 :般若:精液:月 :16母音
・ラサナー :右管 :方便:経血:太陽:24子音
諸尊は、24ないし、37の身体部分と対応付けられ、詳細な身マンダラとなります。
秘密集会タントラの二次第 [中世インド]
インドで優勢だったのが「ジュニャーナパーダ流」で、チベットで優勢なのが「聖者流」です。
聖者流は中観派を重視したため、チベットのゲルグ派で支持されました。
様々な行法が行われ、一つの体系にはまとめられませんでした。
<生起次第>
1-2 根本ヨガ :「死」の浄化
1-3 アヌ・ヨガ :「中有」の浄化
1-4 アティ・ヨガ :「受胎」の浄化
1-5 マハー・ヨガ :三重薩埵の本尊ヨガ
1-6 マハー・サーダナ:性ヨガによる大楽の供養
この段階で、すでに、三重薩埵、身語心の3金剛如来、尊格の出生、マンダラの身体付置などの観想を行います。
また、「劫初人」と呼ばれるの誕生、堕落、死を、自分自身として観想します。
「法源」はオリエント神智学の「第一質料」、「劫初人」は「原人間」に相当します。
少なくとも後者は、間違いなく、ゾロアスター教、マニ教、ミトラ教といったイラン系救済神話の影響を受けているのでしょう。
曼荼羅観想は、宇宙生成論~救済論そのものなので、オリエントのそれの影響を受けるのは、当然です。
五現等覚で尊格を現わして、「中有を浄化」するのが「アヌ・ヨガ」。
本尊の性ヨガを通して自身を金剛薩埵の変化身として現わし、身体に付置された諸尊を観想することで、「受胎を浄化」するのが「アティ・ヨガ」です。
三金剛を、順に、それぞれの種字を置いた自分の身体の3部位から招き入れる観想を行います。
次に、その胸に持金剛の性ヨガを観想して、それを「智恵薩埵(無意識的に現れて動くイメージ)」にします。
最後に、その胸にフーム字を観想して、それを「三摩地薩埵(直感?)」にします。
つまり、「三重薩埵」の観想法です。
そして、文字鬘を女尊との間で循環させる「金剛念誦」を、言葉による利他の象徴として行います。
その後、一旦、光明へ融解した後、他の仏国土へ再顕現して「利他」を行うと観想します。
<究竟次第>
その後、新しく報身に相当する浄化された微細なプラーナによる魂の身体を生み出します。
1 定寂語次第(金剛念誦次第):念誦を唱える「風のヨガ」で「四相」を体験
2 定寂心次第(心清浄次第):「不滅の心滴」にプラーナを流入させる「聚執」で「三空」を得る
3 自加持次第(幻身):プラーナを流出して「幻身」を作る
4 楽現覚次第(光明):完全な「聚執」で「光明」=「一切空」=「法身」を得る
5 双入次第:プラーナを「不滅の心滴」から流出して「報身」を得る
このように、「死のヨガ」を「性のヨガ」の上位に置くことは、聖者流における父タントラらしさであると言えます。
・喉 :受用輪 :16弁
・心臓 :法輪 :8弁
・ヘソ :変化輪 :64弁
・会陰 :守護輪 :32弁
・左の脈管 :阿弥陀・火の精髄
・中央の脈管:不空成就・風の精髄
2 男根:秘密の心滴 :最勝歓喜
3 鼻先:変化の心滴 :離喜歓喜
4 胸 :殊勝な不滅の心滴:倶生歓喜
2は、胸の心滴を男根に下降させ、そこにマンダラの観想を行いながらの「ビンドゥ・ヨガ」です。
3は、金剛念誦を行いながらの「風のヨガ」です。
4は、胸でマンダラの「広観・斂観」、「随滅・流出」の観想を行いながらの「聚執」です。
また、最後に「随滅」を行っている点で、「父タントラ」傾向が認められます。
秘密集会タントラの思想 [中世インド]
第4段階の密教「無上(アヌッタラ)ヨガ・タントラ」の、「方便・父(ウパーヤ・ヨーギン)タントラ」に属します。
この経典は、「あるとき、世尊は一切如来の身語心の精髄である、あまたの金剛妃の女陰に住していた」という記述で始まります。
つまり、教主は、性ヨガを行いながら、教えを説きます。
また、悪行は空であり、貪欲行は菩薩行であると主張され、龍女、夜叉女などの異界の女性との性ヨガも勧めています。
欲望や煩悩の肯定、「反出家主義」、「反戒律」といった従来の仏教の常識の否定が特徴です。
教主は「一切如来身語心金剛主」などと表現される釈迦です。
類似した名前は、「真実摂経」に出てくるので、その影響があるのでしょう。
これは、「真実摂経」で大日如来が菩薩として化身した「金剛薩埵」が、発展した昇格した尊格です。
また、「持金剛」の妃である本初仏母は、「金剛界自在母(ヴァジュラダートゥ・ヴィーシュヴァリー)」です。
流派によって、尊格は増加し、ジュニャーナパーダ流は19尊、聖者流は32尊になります。
これは、「阿閦如来」の五蘊の対応が「識」で、「識」を重視する唯識思想の影響と、「阿閦如来」は「金剛部」であり、忿怒尊を重視するためでしょう。
ただし、ジュニャーナパーダ流では、「金剛薩埵」が化身した「文殊金剛」になります。
精神/物質の2元論が、男性/女性尊格であり、ミクロコスモス/マクロコスモスに対応するのです。
・4仏母 :4大元素
・6(8)大菩薩:6根(感覚)と8識
・6金剛女 :6境(感覚対象)
そのため、3仏には、「智恵」よりも「煩悩」が対応付けられ、それが部の名前にもなっているのが、この経典の特徴です。
諸々の対応は、後に、5煩悩に拡張されました。
また、3仏には「身」「語」「心」の三密(従来の「身」「口「意」)が対応付けられました。
ただし、「身」は、「手印」ではなく、「大印」、つまり、性ヨガの相手を指します。
他にも、「五肉(人、象、馬、犬、牛)」、五甘露(糞、尿、精液、経血、油)」、「五悪(殺、盗、淫、虚言、悪語)」などが対応付けられました。
従来の常識では、煩悩や悪、戒律の対象となるものが配当されているのが特徴です。
・痴部(如来部) :痴 :毘盧遮那:身 :色:声:盗 :オーム:頭頂:白
・金剛貧部(蓮華部) :貧 :阿弥陀 :語 :想:味:淫 :アーハ:喉 :赤
・如意宝珠部(宝部) :我慢:宝生 :随貧:受:香:悪語
・三昧耶鉤召部(羯磨部):嫉妬:不空金剛:供養:行:触:虚言
・阿弥陀 :語:アーハ:喉 :赤:蓮華
・阿閦 :心:フーム:胸 :青:日輪
4仏母に関しては、配置されるのはチャクラに相当する場所です。
その対応は下記です。
・喉 :白衣母 :火:パム
・心臓:マーマキー:水:マム
・ヘソ:仏眼母 :地:ラム
「秘密集会タントラ」は、「心滴」の融解液を、「菩提心」と呼び、重視します。
本来の「菩提心」は、人々を救済するために悟りを求めることです。
これは、「智恵」に対する「方便」に対応するものですが、タントラ的にこれに生理的な側面で対応するのが、「精液」としての「菩提心」です。