天地創造神話の構造 [創造神話と古代神智学]

「創造神話」(世界神話学で「ローラシア型神話」と呼ばれる、西アジアを中心にユーラシア全体に広がった神話群の)は、「宇宙開闢」の神話において、至高存在の創造的次元である「創造神」が生まれた後、この「創造神」による「天地創造」を物語ります。

「創造神」は物質的な宇宙、つまり天地や神々、生物などを生み出します。
この過程は単に物が形作られるのではなくて、「流出」、つまり、光が光度を落としていく過程であって、存在が凝固していく過程です。

まず、「光/闇」、あるいは「昼/夜」、「空気/水」、「火/土」、「男性性/女性性」などと表現される「天地の根源的な2大素材、2大原理」としての神格が生まれます。
「光」は「光神」の、「闇」は原初の「暗黒」の、「水」は「原初の水」の、「空気」は「原初の風」の次元を落とした限定された現れと考えることもできるでしょう。

 ・ 天の素材神/地の素材神 →

次に「天神」と「地神」が生まれます。

この2神の結合によって、「水神」のような天と地を媒介する神や、「嵐神」や「太陽神」といった「天界神」が生まれます。
「水神」は、天地地下の3界を循環するので、知恵の神とされることが多いようです。

「天神」から「水神」へ、そして「太陽神」あるいは「嵐神」へと主権が交代することが多いようです。

「嵐神・風神」は「原初の風」、「太陽神」は「光神」、「水神」は「原初の水」の次元を落とした限定された現れと考えることもできるでしょう。

 ・ 天神/地神 → 天地の媒介神(水神・知恵神) → 天界の主神(嵐神・太陽神) →

多くの場合、神々の主権が順に新しい世代の神々に移されていきます。
これは社会がより食物などの生産に直接に関係した下位の身近な、豊穣の神々が重視されるようになったからでしょう。

また、諸民族間や都市間の覇権交代が反映した場合もあるでしょう。
例えば、被征服民族の神が悪神となって(悪神に重ねあわされて)征服民族の神によって退治されたり、被征服民族の神の子として征服民族の神が主権を譲り受けたり、被征服民族の豊穣神が地界神として征服民族の天界神の下位のに位置づけられたりしました。

ただ、神智学的には主権交代は、個別的な働きが下位の存在の役割となったという解釈だけで、下位の存在が上位の存在より強力なものになると考えることはありません。

多くの場合、「嵐神」は雨水をもたらす豊穣神であって、「突風」や「雷」のような強力な武器を持つ「主神」となります。
「主神」は息子が「戦争神」であることが多く、「主神」や「戦争神」は「原母・混沌」に由来する「悪神・竜・怪物・巨人」を退治して豊穣と秩序をもたらします。

「太陽神」にも豊穣神という性質がありますが、原初神の「光神」とのつながりのためか、法を守る正義神という性質が強いのです。
「太陽神」も「主神」となる場合があります。

地界や地界神も上位の神の限定した現れと考えることができます。
海(神)や地下水(神)は「原初の水」の、大地(神)は「原初の丘」の現れ、という具合にです。

主要な豊穣神は、その組み合わせは様々ですが男女のカップルの場合が多いようです。
大地母神/植物男神、あるいは植物女神/牡牛神・蛇男神・鳥男神、蛇女神/牛男神、雌牛神/鳥男神などなどです。

また、雨水をもたらす金星女神などが天地を媒介して地界の男性神とカップルになることもあります。
これらは年周期で死と再生を繰り返すことも多いようです。

創造神学の神統譜・階層2
天の素材神/地の素材神
天神/地神
旧主神(生命神・知恵神など)
主神(嵐神・太陽神など)
豊穣神のカップル


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