シュタイナーのキリスト論とイエス論 [近代神智学・人智学]

神智学協会では、「キリスト」は白色同胞団の「世界教師」という一役職であり、イエスは「キリスト」が宿った何人かの一人に過ぎません。
ですが、シュタイナーにとっては、「キリスト」は「太陽ロゴス」であり、「イエス」はそれを宿した唯一の存在であり、ゴルゴダの秘跡は地球史における唯一の出来事です。

シュタイナーは、「神秘的事実としてのキリスト教と古代秘儀」以来、それぞれの福音書に関する講演、その他多くの書で、「キリスト」と「イエス」について語りました。

これは、シュタイナーの人智学の核心に関わるテーマであり、神智学協会の思想との違いでもあります。
この項では、シュタイナーのキリスト論、イエス論について、まとめます。


<キリスト>

シュタイナーは、イエスがヨルダン川の洗礼の時に「キリスト」が受肉し、ゴルゴダの十字架上で血を流した時に、「キリスト」が地球と一体化したと言います。

シュタイナーは、「キリスト」とは「太陽ロゴス」であり、地球と一体化して「地球霊」となり、人間の中にも入ったのだと言います。
そして、地球、大地は「キリスト」の肉体となりました。

ですが、シュタイナーの言う「キリスト」は、神智学が言う白色同胞団の「世界教師」という一役職でもなければ、キリスト教が言う三位一体の子なる神でもないようです。
また、「太陽ロゴス」も、神智学の言う「太陽ロゴス」、つまり、太陽系の最高神とは違うようです。

シュタイナーが「キリスト」を「太陽ロゴス」とするのは、「ヨハネ福音書」やフィロンなどのギリシャ系神智学、秘教的キリスト教の伝統を継承してはいます。

ですが、シュタイナーは「キリスト」を、太陽紀に人間の段階にまで進化した「火の霊」を率いた大天使(第8位格の天使)であると言っています。
そして、月紀に太陽が分離した時に太陽に移り住んだ6人の光の霊「エロヒム」達が「太陽ロゴス」の本質だとも言います。
そして、地球紀ヒュペルポレアス時代に、地球から太陽が分離した時にも、太陽に移り住んだ存在です。

神智学との対応については、よく分かりません。
もともと、神智学と人智学では、宇宙進化論の中での「太陽」の意味が違います。
また、神智学のサナート・クマーラ達は「炎の主達」と呼ばれますで、これと「火の霊(大天使)」は、対応しているのかもしれません。


シュタイナーによれば、ゴルゴダの秘跡以前の多くの宗教は、太陽神として「太陽ロゴス」たる「キリスト」を崇拝しました。
ゾロアスター教のアフラ・マズダ、エジプトのオシリス、ギリシャのゼウスも同様の存在であると言います。

そして、古代の秘儀では、3日間の仮死状態の中で、太陽神を見ました。
ですが、「太陽ロゴス」が「地球霊」になって以降、これを行うことができなくなったと言います。

シュタイナーは、ゴルゴダに秘跡は、従来は少数者だけが秘儀で体験した「太陽ロゴス」との合一を、全人類に開かれた認識の道に変えたと言います。

つまり、こうして、人間は、肉体を持った目覚めた意識の中で、言葉を通して霊的なものを認識し、「意識魂」を育てる時代になったのです。

また、「キリスト」は1909年にエーテル界に出現したと言います。
そして、人智学はエーテル体のキリストを見えるようにするため、人々の霊視能力の獲得に尽くす使命を持っているのです。


<イエスの生涯>

シュタイナーは、福音書が語るイエスは2人いて、「キリスト」以外に、仏陀やゾロアスターも宿ったと言います。
つまり、「キリスト」を宿すために、イエスには二つの霊統が流れ込んで、準備がなされたのです。

「ルカ福音書」が語る「ナザレのイエス」は、ダヴィデ家の司祭系、「ナータン系」の生まれです。
そして、もう一人は「マタイ福音書」が語る「ベツレヘムのイエス」で、ダヴィデ家の王系、「ソロモン系」の生まれです。

「ナータン系のイエス」の母は、浄化されたアストラル体を持っていました。
浄化されたアストラル体は「処女ソフィア」と呼ばれる存在で、「宇宙自我」=「聖霊」の光を受け取ることができます。

また、仏陀は同情と愛を霊的領域から人間の中に流し込むことを任務としていたのですが、「ナータン系のイエス」のアストラル体に、仏陀の応身(アストラル体)が働きかけました。
ちなみに、仏教では、一般に「応身」は肉体の仏、「報身」がアストラル体の仏ですが、シュタイナーは反対の意味で使っています。
多分、この使い方は、神智学から継承したものでしょう。

ゾロアスターは、太陽神を説きましたが、死後、アストラル体はヘルメスに、エーテル体はモーゼに与えました。
そして、ゾロアスターの自我は、カルデアのザラトスを経て、「ソロモン系のイエス」に受肉しました。
「ソロモン系のイエス」は、エジプトに行って、ヘルメスとモーゼを通して与えられた力を取り戻しました。

12歳の時、ゾロアスターの自我は、「ナータン系のイエス」に移り、「ソロモン系のイエス」は亡くなりました。
同時に、仏陀の応身は「ナータン系のイエス」の母に結びつき、その後、母は亡くなりました。

仏陀の後を継ぐ菩薩は、エッセネ派のパンディラのイエス(異端として処刑された人物)に受肉して、イエスの準備をしていました。
ちなみに、この菩薩は3千年後に弥勒菩薩として仏陀になります。

「ナータン系のイエス(以下「イエス」)」は、エッセネ派から秘密を教授されました。
ですがその後、「イエス」に仏陀が現れ、自分がエッセネ派のような教団を作って、教えを少数の者に限定したのが間違いだったと伝えました。
また、「イエス」は、エッセネ派は教団から悪魔的存在の「ルツィフェル」と「アーリマン」を追い払っても、他の人間のところに行くだけだということを知りました。

「イエス」が20歳の頃、「ソロモン系のイエス」の母がイエスの義母になりました。
彼女は、ゾロアスターの教えをイエスに伝えました。
また、「イエス」は、ミトラス教が悪魔的な力の支配下に置かれるようになったことを体験して知りました。
シュタイナーはマニ教を評価しますが、その西方版ミトラス教は評価しないようです。

その後、「イエス」からゾロアスターの自我が去りました。
そして、洗礼者ヨハネからヨルダン川で洗礼を受けました。
この時に「キリスト」が「イエス」に受肉しました。

同時に、「イエス」の母の霊(=聖母マリア)が義母に宿りました。
「キリスト」が受肉した「イエス」は、荒野で「ルツィフェル」と「アーリマン」と戦いました。

そして、ゴルゴダの秘跡に至ります。

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