インド・ヨーロッパ語族のパンテオン [創造神話と古代神智学]

ペルシャとインドの支配層となった民族は共にインド・ヨーロッパ語族に属するアーリア人で、かつては同じところに住んでいた一つの民族でした。

古代インド・アーリア人の創造神話はバラモン教の聖典「ヴェーダ」にある程度その跡をとどめています。
その全体像が記録に留められているわけではありませんが、古代エジプトの神話とそっくりな部分があるので、古代エジプト神話や、やはり影響力を持ったであろうメソポタミア神話をモデルに、その古い姿を復元してみましょう。

インド・ヨーロッパ語族には、社会を「主権(宗教)/戦争/生産(豊饒)」という3つの階層に分けて考える世界観があったと言われています。
神々にもこの3つの階層があって、それぞれ「天上/天空/地上」の神々に当たります。
また、それぞれの階層の主要な神は、対象的な性質を持つ対のカップルの2神で構成される傾向があったようです。
そして、3つの階層の外に、3つの階層を貫いて関係する神々もいました。

一貫した創造神話が残されていないので言い切れませんが、この3層の神は、当ブログで言う創造神話の流れで言えば、「原初神/天界神/地界神」に相当するでしょう。
実際、主神は原初神から戦争神へと変化する傾向がありました。

インド・ヨーロッパ語族の古来の神々の構造は、インドで最も古い形が残っています。
イランにもかなり古い形が残っていますが、ゾロアスターやマズダ派の改革によって変形されました。
逆に、ギリシャにはほとんど残っていません。

天上の至高神は、「法的な昼の天神/呪術的な夜の天神」のカップルを形成します。
インドでは「ミトラ/ヴァルナ」、イランでは「ミスラ/アパム・ナパート」、ギリシャではおそらく「クロノス/ウラノス」、ローマでは「ディアウス/ユピテル」、ケルトでは「ルーグ/ダグザ」、北欧・ゲルマンでは「チュール/オーディン」が、天上の至高のカップルに当たります。

天空の戦争神は、「荒々しい風神/洗練された雷神」のカップルを形成します。
インドでは「ヴァーユ/インドラ」、イランでは「ワユ/ウルスラグナ」がこれに当たりますが、他の場所ではカップルは見られません。
ギリシャでは「ゼウス」、ローマでは「マルス」、ケルトでは「オグミオス」、ゲルマンでは「トール」が天空の戦争神です。

地上の豊饒神は家畜の守護神で、男神のカップル、あるいは男女神のカップルを形成します。
インドでは「アシュヴィン双神」や「ナサーティア双神」、イランでは「ドゥルワースパー」と「ガウ」、ローマでは「クイリヌス」、北欧・ゲルマンでは「フレイ」と「ニョルズ」、あるいは女神「フレイヤ」が豊饒神に当たります。

また、悪神や豊饒神は、農業系の被支配民族の神々を習合したかもしれません。

 


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