インド・ヒンドゥー教の創造神話 [創造神話と古代神智学]

アレキサンダー大王の遠征以降の紀元前後に、ギリシャ系の王朝バクトリア、ペルシャ系の王朝マウリア朝、クシャーナ朝が西北インドに進出して以来、その影響でか、アスラ系の光神が復活します。
(インド・ヨーロッパ語族の創造神学インド・ヴェーダの創造神学を参照)

仏教の主神的存在のヴァイローチャナ(大日如来)もそうです。
また、西方世界の「宇宙論」、「救済神話」の影響を受け、インドでもその哲学化が進みます。
これらは別の項目で扱いますので、ここでは、ヒンドゥー教系の神智学的な思考をともなった2つの神話、2Cの「マヌ法典」に書かれた創造神話と、5C頃のヴィシュヌ派の「プラーナ文献」に書かれている創造神話を紹介しましょう。

マヌ法典によれば、最初、「暗黒の混沌」のなかに「宇宙精神」があります。
宇宙精神は「原初の水ナラ」を生み出します。
次にこの水のなかに「種」を蒔くとこれが輝く「金色の卵」となります。
そして、この卵の中に「創造神ブラフマー」が現われ、卵を割って宇宙を創造します。

この神話にも至高存在の3つの次元を認めることができます。
第1の次元である静的母体は「暗黒の混沌」と「宇宙精神」と「原初の水」で、第2の次元である創造の核は「種」と「金色の卵」、そして、第3の次元である創造的存在が「ブラフマー」です。 

ヴィシュヌ派の創造神話によれば、まず、「原初の水ナラ」が存在し、ここに「永遠の蛇アナンタ」がいて、さらにその上にまどろむ「至高神ヴィシュヌ」がいます。
ヴィシュヌが覚醒すると、そのへそから「蓮」が生えて、その花の中から「創造神ブラフマー」が現われます。
そして、ブラフマーが宇宙を創造します。

この神話にも至高存在の3つの次元を認めることができます。
第1の次元が「原初の水」と「永遠の蛇」と「まどろむヴィシュヌ」で、第2の核的次元が「覚醒したヴィシュヌ」と「蓮」、そして、第3の次元が「ブラフマー」です。
ヴィシュヌ派の神学では、これらすべてがヴィシュヌの現われとされます。

これらヒンドゥー教の神話的神学の特徴は、第1に、至高存在の静的次元がさらに3つに分けて表わされていること、そして第2に、その中で意識的男性的原理(宇宙精神、ヴィシュヌ)が重視されていることです。

vishunu.jpg

 
ヴィシュヌ派
至高神の静的次元
原初の水ナラ
原初の蛇アナンタ
至高神ヴィシュヌ
至高神の核的次元
宇宙蓮
至高神の創造的次元
創造神ブラフマー

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